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堀井消費者庁長官記者会見要旨
(2026年4月9日(木) 14:00~14:18 於:中央合同庁舎第4号館6階消費者庁記者会見室/オンライン開催)

発言要旨

私から冒頭、令和8年度消費者月間についてお知らせしたいと思います。消費者庁では毎年5月を「消費者月間」と位置付けまして、消費者問題に関する教育・啓発等の事業を集中的に実施しているところでございます。令和8年度消費者月間の統一テーマに関して、その背景としまして、消費者がAI、そしてデジタルの利便性を最大限に享受しつつ、安全・安心な消費生活を営むために、デジタル技術の利活用や情報提供の仕組みに関する理解を深めること、そしてデジタル社会に必要なリテラシーを高めることが大変重要でございます。このため、今年の消費者月間は「見える情報 見えない仕組み ~AI時代の消費者力を高めるために~」を統一テーマとしています。また、月間における取組の一環としまして、5月22日(金)に本テーマに沿ったシンポジウムを開催いたします。このシンポジウムにおきましては、デジタル社会に必要な消費者リテラシーについて、法政大学の坂本旬教授に御講演いただくほか、現代の情報環境で用いられる「仕組み」を学び、消費者が意識すべきこと等について有識者の方々に御議論いただくパネルディスカッションも実施したいと考えています。皆様に是非、奮って御参加をいただきたいと考えています。さらなるこの月間の取組といたしましては、全国各地で効果的な教育啓発が展開されるように、「インターネット広告の仕組みと付き合い方」にスポットを当てて、地域の教育活動の担い手の方々に活用いただくための解説動画を作成いたしました。本日、消費者庁ウェブサイトに掲載いたしましたので、こちらも是非ご覧をいただきたいと思います。また、地方公共団体や消費者団体等におきましても、統一テーマに沿った講演会やSNSを活用した情報発信など、様々な啓発事業が行われる予定でございます。この他にも、消費者支援活動に顕著な功績のあった個人及び団体を表彰する「消費者支援功労者表彰」の表彰式につきましても、5月の月間中に開催をする予定でございます。受賞者は今月の発表を予定しているところでございます。こうした月間の取組を通じまして、AI、デジタル技術とのより良い付き合い方について考えて、「消費者力」を高めていくための機会にしていきたいと考えております。

質疑応答

フリーの木村です。
今の冒頭発言なのですけれども、消費者月間について、消費者の保護という観点と、あともう一つはAI技術の開発の推進だとか利活用の推進、これとある意味、ちょっと反対の方向の消費者保護というバランスをどう取っていくのかという点について、消費者庁としてのお考えをお聞かせください。

まず、AI、デジタル技術、こういったものの開発・進展で、インターネット上では、商品ですとかサービスに関する情報を容易に入手できるということもありますし、また、消費者の選好、好みを踏まえた情報が提供されるということで、ここは消費者として利便性が高まっていくことだと考えています。他方で、こういう利便性を十分、最大限に享受をするということを進めていくためには、AIなどに使われるアルゴリズムの技術ですとか、それがどう情報提供につながっていくかという「仕組み」とリスクについての知識を十分に習得する、理解を深めることがまず重要なことだろうと考えています。したがいまして、今回、月間において、また、それ以外のところも含めてということになりますが、デジタル技術や情報提供の仕組みに関する、基本的な知識ですとか、あとは技術の進展に対応したリテラシーを高める消費者教育を進めていくということが重要ではないかと考えているところでございます。

具体的な取組とか、予定されているイベントとかは、先ほど御説明のとおりかと思います。改めて、消費者のリテラシーを向上させるために、特にどういう点を訴求していきたいのかという点について整理していただくとどうなりますか。

いくつかポイントがあると思うのですが、消費者と一言で言ってもいろいろな消費者がいらっしゃるわけです。そういうことについての知識が十分にある方と、あるいはそうではなくてただ利便性が非常に高いということで使っておられる方、いろいろな方がいらっしゃるということだと思います。今回の啓発動画、後ほどご覧いただければと思うのですが、極めて分かりやすく、仕組みについての解説に加えて具体的なアクション、どうしたらいいのかということにつながるようなことも盛り込んで分かりやすいものになっていると思います、まずそういった形でのコンテンツを作成して皆さんに知っていただくと。さらには「消費者教育ポータルサイト」、これは消費者庁のホームページの中にもリンクがあり、トップページの下のほうから「関連サイト」というところを見ていただくと、消費者教育ポータルサイトが出てきます。このポータルサイトの内容、これまで充実に努めてきたところなのですが、このポータルサイトをご覧いただいて、いくつか項目がある中で、「教材を探す」というところを見ていただいて、検索画面で例えば「ICT」と入れていただいたとしますと、総務省が作成している資料などを含めていろいろなものが出てくる。「ICT」で実際に検索をしてみたところ、シニア向けのもの、保護者向けのもの、青少年向けのもの、「はじめてのスマホ」、「インターネットトラブル事例集」とか、こういったものがいろいろ出てきます。いろいろな消費者の方々に向けて、あるいはいろいろなシチュエーションに応じた形で必要となるリテラシーということも変わってくるかと思いますので、我々としては、分かりやすいものに加えまして、多種多様なものを用意して、あらゆる機会を捉えてお伝えをしていくということかと思います。消費者教育ポータルサイトにつきましては、既に御案内の方もいらっしゃると思いますけれども、こういう教材以外にも、国や地方の取組でございますとか、講師派遣団体の情報、チラシや動画などの教材も併せて掲載をしておりますので、御活用を改めてこの場で呼び掛けさせていただきたいと思います。

フリーの相川です。
木村記者と重なる部分もあるのですが、実はAIに今年の月間テーマと趣旨説明文をどう思うか聞いてみました。無料の「Google Gemini」は、今向き合うべき核心を突いた良い設定だと思うと。ただ、一般消費者にとってアルゴリズムや仕組みの話は少し難解で、自分事化しにくいというハードルがあると。「ChatGPT」は、よく整理された正論だが、やや抽象的で、安全運転過ぎる印象があると。このテーマは、プラットフォーム企業、行政、消費者の責任分担を問う話で、全部消費者の努力によっているのはやや危うい。トランプ大統領を怒らせて米政府で禁止された「Claude」は、時宜を得ていて、アルゴリズムによる情報フィルタリングやダークパターンなど、消費者が見えない仕組みに翻弄されているという問題意識は正確だ。ただ、アルゴリズムの問題はどれだけリテラシーを高めても個人で太刀打ちできない構造的な側面が多く、プラットフォーム規制や企業の責任説明という議論が趣旨説明文にほぼ出てこないのは、消費者庁らしい啓発止まりの限界を感じると。AIはそれぞれ少しずつ回答が違っていて、もう少し具体的な問い方をするとさらに差が出てくるというような印象があります。この消費者月間の中に、デジタル社会に必要なリテラシーを高める具体的な内容について、アルゴリズムが情報を届ける仕組みやリスクを理解することということで、動画もそれに近いものを上げてはいるのですが、これは非常に分かりにくくて、自分でどういうものがどういうトラブルにつながってくるのとか、もう少し分かりやすい平易な言葉に置き換えて、自分事として受け止められるような伝え方をされたほうがいいのではないでしょうか。どういうことを具体的に、何を伝えたいのかを端的に、平易な言葉で教えてください。

いろいろとこの月間を契機に相川記者が試してみられたこと、まさにそういう取組を、テーマについてそれぞれの方が考えて、それで実行するという契機にしたいと。これは全国的な機運醸成のための月間ですので、そういう意味では、月間の趣旨に従った取組をしていただいたのではないかなということで、非常に興味深くお話をお伺いしていました。今回のテーマで何を伝えたいかというところは、まさに先ほどお話したこととも被るのですけれども、私たちの消費生活をより便利にする、そういう技術でもあるアルゴリズムや、こういう環境下にある私たちのインターネット上の情報提供、これがどういう性質かということを分かった上で上手に付き合うと。上手に付き合うという意味合いは、便利なのだけれども、自分自身が納得感を得た上で安全・安心に消費ができると。そのための基礎知識を身につけるということが中心になろうかと思っています。アルゴリズムという言葉自体は、コンピューターが物事を判断するための手順を指すものだと私も認識をしていますが、こういう言葉自体、日常生活で使うという局面が限られるということもあって、難しさを感じるということはあるのかもしれません。ただ、一方で、それを具体化して、どういうふうな仕組み、そしてどういう行動を取るのがいいか、そういったことをお伝えするべく、この動画を制作しておりますので、言葉の難しさをとらまえて躊躇したり、いわゆる食わず嫌いのようなことをするのではなく、この動画をご覧いただけると、「なるほど、こういうことか」と分かっていただけるのではないかと思います。先ほど御紹介させていただいたポータルサイトの中にある様々な参考資料も、そういう観点で、それぞれの消費者の方が御自身の知りたいこと、あるいは御自身の今知っていることのレベルに合わせて選んでいただけるような、そういう形で今後一層、内容を拡充していきたいと考えています。

今回のテーマに対して消費者庁は、消費者にリテラシーを高めることを求めていますが、本来責任を分担すべきプラットフォーム事業者への規制や、例えば企業への説明責任、行政の取組についてはどのように対応されるのか、お考えをお聞かせください。

今回、統一テーマを設定して、これは今の消費者を巡る現状に鑑みて、この統一テーマを設定して、周知啓発を全国的にやっていこうということなのですが、ただ、御指摘のような点も含めて、このテーマに関しては消費者庁として様々なアプローチの仕方があるのだろうと考えています。御紹介をした消費者月間における取組等は、私たち消費者がデジタル技術や情報提供の仕組みに関する知識を得る、そして技術の進展に対応したリテラシーを高めることに関するものでございますけれども、例えば一方で、インターネット上の悪質な勧誘行為ですとか、消費者の意思形成を歪めるユーザーインターフェイスの拡大など、デジタル技術の発達・発展を悪用する形で発生している消費者トラブルというのもございます。このような状況に対しては、どういう対応をするべきなのかということに関して、御案内のように現在、有識者会議で様々御議論をいただいているという状況です。ですので、いろいろなアプローチの仕方で、いずれにしても消費者が技術の発展を最大限に享受しながら安全・安心に消費ができる、そういう方向性を目指して、健全な市場をつくっていくということだと考えています。

具体的な検討内容については、まだ今は言えないということなのだと思いますので、それは頑張っていただきたいと思います。それから、消費者間の効果は、何をもって判断されるのでしょうか。指標のようなものはあるのでしょうか。

消費者月間は、毎年統一テーマを設定して、それを消費者・事業者・行政が一体となって、消費者問題に対する教育・啓発等の事業を集中的に実施するということで、全国的に機運醸成を図っていくと、そのような趣旨・目的でございます。結局、そういった形でやることによって、自治体や団体、事業者等の方々が自らテーマに沿った形で普及啓発活動を行うわけですが、その過程でそれぞれの主体が現在の消費者を巡る課題というのを認識する、あるいは、自分のところで周知をするに当たって、その訴求する対象等を踏まえた上でどういうふうにやっていったらいいのかというのを考える、いわば創意工夫を行う。あとは、それを受けた人が自分なりに受け止めて、例えば先ほど相川記者がやってくださったように、AIを使ってそういったことを深めてみようと思ったりする。いろいろな効果、いろいろなやり方があるだろうと思っています。したがって、例えば数値的な目標を作るといったことは想定をしていませんが、時宜に応じた形でテーマを設定し、あるいはその必要性に応じて繰り返し繰り返し、関係者の皆さんとともに周知をして考えていくと、そういったものにしていきたいと考えております。そのためには、やはりテーマの必要性、時宜を捉えた形のテーマ設定と、その周知をするためのコンテンツ、例えばポスター、チラシ、それから動画。そういったものをより分かりやすくして、皆様に御協力をいただいて、全国的な機運醸成を図っていくと、そういったことかと思っています。

どこかでダークパターンとか、いろいろなものをテーマに意識調査をされるというのもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

どのような消費者意識調査を行うか、これは定点的に定例的にやっているもので、これも時宜に応じた形でいろいろ考えていく内容だと思っていますので、また引き続き、いろいろな方々の御意見も伺ったり、あといろいろな状況を注視しながらテーマ設定、あと調査内容についても検討していきたいと考えています。

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